東京軒 of 銚子セレクト

暖簾をくぐるとL字型のカウンターが目に入る。12名で一杯だ。
メニューはいたってシンプル。とんかつとシューマイだけ。







だからこそ店主のこだわりがそこかしこにうかがえる。
地産地消が叫ばれるずっと以前から豚肉は県内のSPF豚（きめ細かく柔らかい肉質で弾力が有る。）その豚肉をラードで揚げている。
毎日新しいラードに変える事はもちろん、油の腰が無くなると昼で変えてしまう。
だからこそ、独特のサクサク感と香ばしい風味を出している。



そのとんかつに無くてはならない、パリッとしたキャベツは当然銚子産。
手切りでシャキシャキ。蕎麦猪口で出される味噌汁は、驚くほどの煮干し出汁だ。
市内の田原鰹節店の鯵、鯖、鰯3種類の煮干しを使っている。
具は大根。主張過ぎない味がいいのだろう。お漬物は、白菜、大根、胡瓜。アクセントの
ゆずは年中切らさないよう、皮を冷凍していると言う。全てが、とんかつを美味しく引き立たせてくれる名脇役だ。



更に驚く事は、米を炊く水は店主のお父さんが、福島の八溝山まで汲みに行っているということだ。お客の来るタイミングに合せ、ガス釜で炊かれた米はピカピカに輝いている。すべて祖父の代から変わらない。



そしてすべてを店主が作っている。
ビール片手に待つ常連客に、次々出されていくとんかつは、
それぞれの好みの揚げ具合だと言う。
建物は変わり、代は変わっても、何も変わらない味を求めて、馴染みの客はやってくる。
それこそが東京軒の宝だ。